もう一つのオレンジ

□四 力があったなら
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やだよ

いやだよ・・・

もう

失いたくはないんだよ・・・








力があったなら












嫌な予感がした

とても

今日 紅が腕に大きな痣をつくってきた

なぜかとても不気味に感じる痣だった

どうしたのかと尋ねてみると

「『あそこ』の階段で転んだだけだよ」

笑ってそう答えただけだった

紅が『あそこ』というのは例の場所しかない

紅の住んでた家

紅の幸せを作った家

紅の幸せを奪った家

そして

「今日も『あそこ』に行くんだ」

そう言って彼は教室から出て行った

・・・変だ

紅はよっぽどのことがない限り『あそこ』へは行かない

昨日は『事がおきた日』だったが

今日はなにもない

なのに

行くと言った

怖かった

なぜだかわからないが

怖かった

全てがおかしかった

なにかが崩れた

そう、思った

だから

今から私も『あそこ』へ行こうと思う












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