もう一つのオレンジ

□壱 手にした力
1ページ/7ページ








力なくして  人は

護れるものなし











手にした力













「ただいまァ・・・」

「遅ぉぉぉぉい!!」

・・・・弟が帰ってきた・・・

ガッシャァァァァァァン

・・・・うるさい

私はクソ親父と弟のファイトを無視して

黙々と箸を動かす。

どーせ遊子が止めるだろう・・・

「もー やめなよ二人ともー」

ほーらね

・・・あ

アイツまたちがうヤツ憑けてる。

「あ おにいちゃん また新しい人憑いてるよ」

遊子が気付いた。

「祓っても祓ってもすぐコレだ!!
 
 ちくしょーーー!!」

テメェの祓いかたが甘ぇんだよ。

そう

私と弟は

見れる触れる喋れる上に

超A級霊媒体質(夏梨いわく)だ。

といってもうちの家族は

基本的に”霊感”というものが強い。

・・・すごくめんどくさい。

私の夕飯の箸が進むにつれて

家族漫才がヒートアップしていく。

終いには弟は自室へ戻ってしまった。

まぁ私の知ったこっちゃないけど。












ん?

もう一人(霊が)増えた?

上の部屋から妙なカンジがする。

何かが・・・違う?

そんな私をよそに家族漫才は続く・・・

・・・・哀しくなってきた・・・

考えるのがバカバカしくなって

私は再び箸を動かした。





















オォォォォォォォン





小さなうめき




聞こえた?




聞こえない?



















「ん?」

「どしたの? お姉ちゃん」

突然疑問の声をあげた私に

遊子が心配そうに声をかけてきた

「いや…べつに」

なにか

なにか嫌な予感がした

苦しい叫びのような

悲しい叫びのような

そんな 声

まぁどうせ気のせいだろうと

「遊子」

「んー?」

「おかわり」

「よく食べるねー

太るよ

「うるさい夏梨」

私はおかわりを要求した

その時だった



















ドォォォン!!


















次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ