もう一つのオレンジ

□壱〇 旅立ちの日
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下に降りていくと

すでに一護がいて

靴を履いている途中だった

「お 凛護」

「一護」

私たちは無言で靴を履いて

ドアの取っ手に手をかける

一護は私を振り返って

フッと微笑む

「・・・いくか」

「ん・・・」

扉を開けて

真夏の闇に飛び込む

「ッグッモーニン・イッチ・・・」

外に出ると頭上から奇声が聞こえ

「ゴーーーーーーーっ」

親父が降ってきた

・・・一護めがけて

それをひらりと一護はかわす

「ぐお・・・今の攻撃をかわすとは

 さすが我が・・・」

「親父・・・」

「おぉ 凛護

 久しぶりだな」

血まみれなのにも関わらず

親父は笑顔を私にむける

「なにしてんの」

そんな哀れな親に

私は冷ややかに問う

「ほれ これ」

そういって取り出したのは

ふたつの古びたお守り

「なんだよ これ」

「・・・いらねー」

「そう言うなよぅ 凛護ー

 昔母さんが俺にくれた大事なお守りなんだぞー」

「ふたつも?」

「二回くれた☆」

「どんだけ危なっかしーんだよ お前は」

一護は優しいからちゃんとツッこんであげる

「で なんでそんな大事なもんを私たちにくれるんだよ」

「やんねーよ 貸すだけだ

 旅行の間だけな

 終わったら 俺に返しにこい」

私はじっとお守りを見つめる

これは私のためのお守りじゃない

返さなくては

絶対に

ぐっと お守りを握る

一護も同じように握った

「・・・じゃ」

「「いってくる」」

親父に背を向けて

私たちは

走り出した






































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