もう一つのオレンジ

□九 夏の花火
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「凛護っ」

「・・・紅」

「待ち合わせ場所にいなかったからさっ

 ここだと思った♪」

そういって紅は私の隣に座った

街外れの小高い丘

紅と私が出会った場所

「なんでこなかったの?」

「んーーーーーー」

8月1日

一護の殺し合いも終わって

浦原が尸魂界へ行くための準備をするから

私たちは

夏休み

ほんのちょっとの

夏休み

今日は花火大会だから

皆で集まろうって

集合時間はとっくに過ぎてるけど

「一護に会うのが怖い?」

「・・・・・・・・・・」

夏の日差しがじりじり痛い

「凛護らしいなー」

「・・・どういうことだよ」

「だって凛護弱いじゃん」

「は?」

「一護に対して」

「・・・・・」

「まだ怖いの?傷つけることが

 いつも言ってんじゃん

 一護はそんなこと気にしてないって」

「・・・・・・」

紅の言葉がそのまま私に刺さる

その通りだから反論できない

けど

肯定もしたくない

だから黙った

「ってそんな慰め無駄・・・か」

いつまでも答えをださない私に

紅が溜息混じりに言う

私は

抱えた足元に生えている草をぶちりとむしる

根っこが

生きているものが切れる感触が伝わる

「とりあえず会おう 凛護

 一護に さ」

「・・・・・・・・・」

私は差し伸べされるその温かい手を

無言で握った

会って

何かが変わるとも

何かが変わって欲しいとも思わない

ただ

握った

離したく なかったから・・・
































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