もう一つのオレンジ

□五 雨の記憶
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何年ぶりだろう

これから母さんの墓の前に行こう思う

逃げずに行こうと思う










墓の傍にいくと親父と一護が見えた

「・・・お 凛護」

父さんが私に気づいた

「なんだぁ お前もずぶ濡れになって

 似たもの姉弟か」

そう言って親父は私に傘とタオルを渡した

親父は一護と違って私には優しい

よーするに

娘には優しい

「・・・親父」

「ん?」

「母さん死んで憎いとか悔しいとか復讐したいとか

 そういう・・・想いとかないの?」

「・・・・」

「誰かを・・・恨みたいとかないの?」

私を 責めないの?

「・・・誇らしく思ってるぞ」

「・・・え?」

「自分の惚れた女は自分のガキを守って死ねる女だってな」

「・・・・・」

「って!!これ本日二度目じゃね?!
 
 なんでお前ら似たようなこと聞くんだよ

 双子怖えーーー!!」

「!!」

下を向いたままの私の頭に親父はぽんと手をのせた

「そんな顔すんじゃねぇ 凛護 しゃっきとしろ

 誰かを恨んだって何にもなんねぇぞ

 その前に生きろ

 生きて母ちゃんより綺麗で強くなってみろ な」

顔を上げるとにまっとした親父の顔があった

そしてぽんぽんと私の頭を二回叩いてから

手をひらひらさせてどこかへ行ってしまった

その後姿が妙に大きく見えた

「・・・一護」

「ん」

「ありがとう・・・ごめん」

「あぁ・・・」

「ルキア まだ私を死神のままでいさせて

 強く・・・なるんだ 母さんみたいに」

「俺も・・・

 強くなって倒すんだ あいつを」

「「でなきゃ おふくろ(母さん)に合わせるカオがねぇんだよ」」

「お前等・・・」

美しい月光が私たちを照らす




























私 生きるよ

生き続けるよ























 


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