もう一つのオレンジ

□五 雨の記憶
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しばらくして目覚めると自分の身体に戻っていた

切り傷とかは残っていたけど

だいたいの傷は治っていた

「・・・ルキ・・・ア」

近くに一護の姿はなく ルキアだけがいた

「お・・・凛護起きたか」

「・・・奴は?」

「・・・逃げた

 一護がお前を庇いながら必死に戦ったがな」

「そぅ・・・」

不思議と憎しみが湧いてこなかった

虚にも一護にも・・・

それよりも自分の非力さに泣けた

「・・・一護は・・・戦えてた?」

「ん?」

「母さんの姿と 戦ってた?」

「あぁ・・・ちゃんと向かっていったぞ」

「ふぅん・・・強いね一護」

「貴様も十分強いではないか」

「え・・・?」

「逃げずに戦った」

「・・・逃げたよ 斬魂刀(カタナ)を振るのをやめた」

「逃げてない」

「・・・なんでそう言いきる?」

私はルキアを睨んだ

どうせならお前は弱いってはっきり言ってほしかった

「貴様の背中には傷はひとつもない

 それは貴様が敵に背を向けなかったということだ」

「・・・・・・」

「貴様はよくやった・・・」

ルキアは優しく笑った

「・・・・・・・・・」

「貴様は強い

だが脆いな」

ルキアが近づいてきて

そのか細い身体に包まれた

「無理は…しなくていい」

「・・・・ぅ・・・・」

「泣いていいぞ」

「・・・うっ・・・あぁ・・・・」

涙が出てきた

なんでだろ

悔しいのかな

嬉しいのかな

苦しいのかな

楽しいのかな

わかんない・・・

わかんないよ












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