夢浮橋劇場再演
□【三人のなまけもの】
【三人のなまけもの】
●王−友雅
●三人の息子−将臣・頼忠・頼久
●ナレ−ション−アクラム
〜開幕〜
アクラム『ある国に、王と三人の息子がいた。王は自分の死期を悟り、息子達を呼びよせ世継ぎを決めることにした。』
友雅「私の可愛い息子たち。君達もご存知の通り私はもう長くない。そこで三人の中で一番の‘なまけもの’に、この国を譲ろうと思うのだがね。」
頼久「父君、一番の‘なまけもの’は私でございます。私は十通りの剣の型を朝三回昼二回夜三回を毎日欠かさず行っておりましたが昨日は神子様の物忌みにかまけ、昼の稽古をおろそかにしてしまいました。
私こそ堕落した、‘なまけもの’にございます。
頼忠「‘なまけもの’とは今の私に浴びせられるべき言葉。父君、私は雨上がりの朝、森にて木の葉より滴り落ちる滴を居合の型にて千粒切ることを日々の日課としておりましたが、今朝の雨は少なく、九百九十七粒で滴が絶えてしまい、滴が落ちぬのを理由に稽古を中断してしまいました。どうぞ‘なまけもの’の称号は私に。」
将臣「あ−、わりぃけどよ。俺はこっちの世界に来てからは働き者なんだ。ま、学生やってた時は学校行ったら爆睡してたからな。飯と体育の時間は除いて、昼はト−タル6時間は、まぁ寝てたんだけどよ、こっち来てから戦だなんやで昼寝も一日、1、2時間てとこだからな。ま、かなりの働き者だな。」
友雅「随分簡単に結果がでてしまったね。他の二人にはもう少し頑張ってほしかったんだが仕方がない。将臣、私の後を継ぐのは、君…だ。この国…を、た…のむ…。」
将臣「ちょっとまて!俺は怠けてねぇ−!てか、途中から息の引き取りかた急すぎんだろ!」
頼久「将臣、頼んだぞ。」
頼忠「父の志しを継ぐのはお前だ。」
アクラム『その後、国は滅んだ…。フッ人間とは愚かなものよ…。』
おしまい
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