占いの館へようこそ‡遙か3‡
□銀盤に舞う!
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「おそいなぁ」
譲は軽く屈伸運動をしながら呟いた。
今日は学校で補強工事があり珍しく部活が休みだった。たまにはのんびり買い物でも行きたかったのだが、残念なことにそうはいかなかった。
昨日テレビを見ている最中にすぐ部屋に避難しなかったことが今でも悔やまれる。
「すごいですね」
「ああ、大胆だね」
毎年恒例のフィギアスケート国際大会の放映にヒノエと弁慶は夢中でテレビにかじりついていた。
何処に二人が感心しているのか怪しいものだが、譲もスケートは好きだったので二人と一緒に見入っていた。
興奮した二人にうっかりスケートリンクが近くにあることを話してしまい敦盛をも巻き込んで男4人でスケート場に来るはめになってしまった。
「男4人でスケートはちょっと…」
「じゃあよしえさん、誘おうぜ」※よしえさんは譲の母です
「いや、母親と一緒なんてイヤだから!!」
「男だけが嫌だなんて譲君、ヒノエの影響を受けてますね」
「いえ、そういうことじゃなくて!」
なんだかんだで皆をつれて近所の鎌倉アイスアリーナにくることになってしまった。
スケートリンクの上はカップルばかりで皆、手を繋ぎ幸せそうに滑っていた。その様子を見て、ため息をつく譲は何やら後がザワザワと騒がしいのに気付いた。
何気なく後を向いた譲は目に映った光景をみて愕然とした。
なんと弁慶とヒノエがフィギアスケーター用の派手な衣装を纏い現れたのだった。