占いの館へようこそ‡遙か3‡
□母は恋する
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食事が始まるとよしえはリズ先生に付きっきりだった。食べ頃の肉を即リズ先生の皿に盛り、常に酌をしていた。
よしえがリズ先生とマンツーマンのようになってしまったので他の六人の世話は全て譲にまわってきた。
客間もリズ先生の為に用意させたらしかったが、リズ先生は九郎のプレハブで寝ると言い、結局使わなかった。
景時が譲の部屋で、弁慶は白龍の寝ている部屋で寝ることになった。
「母君は先生を気に入って下さったらしいな」
台所の前で佇んでいた譲に九郎が声をかけた。
「ええ、でも父さんが帰ってきたらのことを考えると心配ですけどね」
譲は冗談めかして言うと九郎は驚き、
「父君は生きているのか!」
「ええ!何言ってるんですか。九郎さん」
「…そうか。いや。俺の勘違いだった」
何を勘違いしたのかと思ったが、確かに海外出張の意味を即理解できるはずがない。ヒノエや敦盛も勘違いしているかが気になったが今の譲にはやることが山盛りだった。
床を拭いて弁慶の三角巾を捜し、学校にいかなければならない。
(兄さん、はやく帰ってこないかな)
今、一番自分の味方になってくれそうなのは将臣のような気がした。
譲は久々に兄を恋しく思ったのだった。