占いの館へようこそ‡遙か3‡
□母は恋する
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【母は恋する】
「そっか。じゃあ譲君達が俺達の世界にきてから半日しかたっていなかったんだね」
「そうなんです。とにかく現代に着いた時、先輩は意識を失って、白龍は子供に戻ってるしで…。そのことは後から母さんに聞いたんですけど」
景時と譲はリビングで朝食後のコ−ヒ−を飲みながら現代にきてからのことを思い返しながら話していた。
「譲、服のボタンとれたんだけどさ」
ヒノエが袖の部分を見せながら近付いてきたので、譲は立ち上がり裁縫箱を棚からもってきてヒノエに渡した。
「何だよ。付けてくれないのか」
「…おまえ、ボタンも付けれないのか」
譲はしぶしぶヒノエのシャツと裁縫箱を受け取った。
「譲、すまない。汁を床にこぼしてしまった。なにか拭くものを…。あ、これを借りる」
「あ、敦盛さん。まって下さい!それはテ−ブルふきんです。今雑巾を持ってきますから!」
「譲君、すみません。僕の三角巾なんですが…、」
「ああ、弁慶さん。ちょっと待ってて下さい。えっと…、雑巾は…」
「…譲君。忙しそうだね」
景時は大変そうな譲を見て、呟いた。
昨日から譲は確かに大忙しだった。
帰宅してから望美が目覚めたという報告をした途端、我先にと望美に会いに行こうとする皆を制し、必ず会わせるからと必死に説得を続けたのだった。
会わせてあげたいのはやまやまだが何せ望美の家族は事情をすべて把握している訳ではない。
皆、興奮気味だったので譲は母よしえにたすけ舟を出してもらおうとよしえの元に向かった。
だが、望み虚しく下ではこれまた困ったことがおきていることに譲は気がついた。
よしえは…リズ先生に惚れてしまったのだった。