占いの館へようこそ‡遙か3‡
□再会はスーパーで
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入り口から左に向かうとス−パ−の食料品売場とは別に酒屋があった。
ヒノエはその方向に女性客が何人か列んでいる場所があったので近づいた。
「あっさり見つかったな」
どうやら当たりだったらしくチラシの写真と同じ袋が綺麗に積み上げられていた。
「すみません、お一人様二個までと決まってるんですよ」
『塩』は棚とは別の大きなワゴンに積まれており、ワゴンの横の白い三角巾をつけた店員らしき人物が列の先頭の女性客に
声をかけた。
「何言ってんのよ!私、初めてよ」
ややムッとした女性客の声がした。
「おや、そうですか。貴女のような美しい方の顔を忘れるはずがないんですけどね」
もし自分があの店員だったら同じような台詞を言うだろうと、ヒノエはワゴンの横の店員の顔を見た。
先程の女性客は顔を赤くして列から離れ、店員は微笑を浮かべそれを見送った。
その見覚えのある笑顔にヒノエは一瞬ハッとしたものの、すぐに『プッ』吹き出してしまった。
店員もヒノエを見て一瞬目を見開いたが、すぐに先程の微笑に戻った。そして、
「君は何処にいても目立ちますね」
「ふうん、アンタ白頭巾も似合うんだね」
ヒノエは自分の叔父である弁慶との思いがけない再会を果たした。
「塩、買いたいんだけど」
「ええ、お売りしますよ。ちゃんと列んで下さいね」
当然というような弁慶の台詞に「はいはい」といいたげに、ヒノエは列の後ろにつき、決めてあった合図の口笛を吹いた。