占いの館へようこそ‡遙か3‡
□再会はスーパーで
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入り口より右へ、陳列棚の間の通路を買い物客にぶつからぬよう敦盛はチラシに載っていた茶色い袋に入った『塩』の姿を探した。
すると一カ所に佇む大柄の人影が手にもったおぼんの上にある小さな紙コップを通りかかる買い物客に差し出していた。
商店街でもよく見かけた 試飲なのだろう。
試飲の商品がテ−ブルに置かれ、カラフルな文字で『新発売!コンブエキスたっぷり カルゲン登場』と書かれていた。
だが無言で差し出されるカップを受け取る客は無く、皆その場を避けて歩いていた。
が、敦盛は目的を忘れ試飲用のジュ−スを配っている人物の前に立った。
「リズ先生…」
「敦盛…」
二人は言葉を失い立ち尽くしていた。
「…飲みなさい」
リズヴァ−ンは微笑み試飲のカップを敦盛に差し出した。
我に返り敦盛はカップの中身を一気に飲み干した。驚くほどまずかったが思わぬ再会にジュ−スの味はどうでもよかった。
「よくご無事で…」
「…うむ」
リズヴァ−ンの瞳も敦盛の無事を心から喜んでいた。