占いの館へようこそ‡遙か3‡
□再会はスーパーで
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「ここだね」
「ああ」
先程の場所から小一時間程走り、三人は目的のスーパーの前に来ていた。
「とりあえず中にはいるとするか」
九郎が促し、二人は後に続いた。
「まったく、とんだ邪魔がはいったもんだ」
「ああ、遅れると『売り切れ』になる可能性があると聞いている。手分けをして探してはどうだろう」
ヒノエと敦盛の会話は『何か』のアクシデントは想定していたかのように聞こえた。
ガラスの自動ドアから三人は店内にはいった。
九郎が一瞬自動ドアに手を伸ばしかけたのでヒノエと敦盛は笑いそうになるのをこらえた。
「うわ、広いな」
「中を見渡すことができないようだ」
ヒノエと敦盛はよしえの買い物に付き合うことが多かったが、ほぼ家の近所の商店街で済んでしまうので大型ス−パ−には来たことがなかった。
「…全部、食料なのか…。気味が悪いな」
九郎は口を開けて陳列棚を見回した。
三人の頭には店員に目当ての品まで案内してもらうという考えはまるでなかった。
敦盛の提案で時間短縮の為、入口から三方向に分かれて『塩』を探すことにした。
「見つけたら大声でさけぶぞ」
「じゃあ俺は口笛を合図にするかな」
「では私は横笛を奏でよう…」
店に迷惑をかけそうな合図を決めると三人はそれぞれの方向に急ぎ足で向かった。