【管理人×碓氷プロデュース メイド様!メンバーで童話劇〜会長は○○シリーズ〜】

《その2.会長は赤ずきん》




あるところに美咲という女の子がおりました。
美咲はいつも赤い頭巾を被っていたので周りの人からは『赤ずきん』と呼ばれていました。
赤ずきんは毎日お母さんと妹と楽しく暮らしていました。


そんなある日のことです。

「美咲、今日店長さん具合が悪くてお店開けられないからお休みにするって連絡があったわよ」
「え、さつきさん具合悪いの!?」

赤ずきんが日頃お世話になっているバイト先の店長さんが風邪を拗らせて寝込んでいるというのです。


「大丈夫かな、さつきさん」
「美咲お見舞い行ってきたら?この前頂いたワイン持っていっていいから」
「え、良いの?」
「うちじゃこんなに飲まないもの」
「ありがとう母さん」
「じゃじゃーん。お姉ちゃん、懸賞で当たった【季節の果物詰め合わせ〜特盛〜】も持ってく?」
「紗奈…良いのか?」
「大丈ー夫。我が家の分は【季節の果物詰め合わせ〜普通盛〜】があるから」
「そ、そうか…」


お母さんと妹からワインと籠に入った沢山の果物をもらった赤ずきんは、早速店長の家までお見舞いに行くことにしました。


「それじゃ、いってきます」
「お大事にって伝えてね」


そうして赤ずきんはいつものように頭巾を被って出かけて行きました。

店長の家まで普通に歩いて行くには少し遠いので近道の森の中を通っていくことにした赤ずきん。
森の中を歩いて行るとかわいらしいウサギの女の子…じゃなくて幸村ウサギに出会いました。


「あれ?赤ずきんさんじゃないですか。こんにちは」
「幸村か。どうしたこんなところで」
「実は、るりにお姫様ごっこに使うから花を摘んできてほしいって言われちゃって…」


どうやら幸村ウサギは妹のるりちゃんウサギにパシリにされたようです。

「!…そんなパシリだなんて…」

あれ。違いました?

「ひ、ひどい…」
「だ、大丈夫だぞ幸村。ちゃんと妹思いの良いお兄ちゃんに見えるって」
「ホントですか赤ずきんさん!」
「あ、ああ…」


赤ずきんは少しばかり苦笑いと額に汗を浮かべて答えました。


「じゃ、じゃあ幸村、私は急ぐからな」
「あ、はい赤ずきんさん。さようなら」


幸村ウサギと別れた赤ずきんは小さくため息をつくとさらに森の中へと進んでいきました。
しばらく歩いているとなにやら目の前の茂みがガサガサと音を立てて動いています。
一体なんだろうと足を止めて茂みに目をやると中から白川ザルと黒崎キツネと更科タヌキの3バカトリオが足元に転がってきました。
赤ずきんは驚いて慌ててその場を避けました。


「いってぇ…オイ白やんサル!俺を押すなよ!」
「白やんサルのせいでイッくんタヌキどころか俺まで巻き込まれたじゃねーか!」
「うるせー!イッくんタヌキが1人先に美咲ちゃんの元へ行こうとするからだろ!」
「………」


目の前で繰り広げられてるなんとも馬鹿馬鹿しいやりとりに赤ずきんはうんざり…
構っていても仕方ないと足を進めようとしました。


「ちょ、美咲ちゃんちょっと待って!もう少し俺に構っt「オイ、クロタツキツネ!どさくさに紛れて“俺に”とか言ってんじゃねぇよ!」
「そうだぞ!抜け駆けすんな!」
「……すまんが私は急いでるんだ。お前等に構ってる暇はない」
「そ、そこをなんとか!10分…いや5分で良いから話を…」
「しつこい!お前等はセールスマンか!」


あまりに鬱陶しい3匹を引き離して茂みの中に“ぽーい”とすると赤ずきんは急いで歩いていきました。(※3バカの扱いが雑なのは仕様です)


結構な距離を歩きました。店長の家まではあともう少しです。
そんな時、茂みの中から狼の着ぐるみっぽいのを着た叶くん…叶くん狼が現れました。


「………」
「………」
「……叶、お前ウサギの次は狼か?」
「…仕方ないじゃないですか…用意されてた衣装がコレだったんですから…」


叶狼の姿は、原作のあの“眼鏡ウサギ”の狼バージョンを思い浮かべてください。因みに全身茶色です。
叶狼はこの衣装が心底嫌みたいです。酷いですよねー。私が丹精込めて夜なべして作り上げたって言うのに…
あれ?どうしたんです叶狼。頭なんか抱えちゃって。ホラ、早く次の台詞言わないと進まないでしょ?


「……はぁ……あ、赤ずきんさん…ど、どちらへ行かれるんですか?」


…叶狼は盛大なため息をついた後、赤ずきんに訊ねました。因みにこの配役は、くじ引きで決まったのです。ドンマイ叶狼。


「あ、あぁ…ちょっとお見舞いに…」


赤ずきんはどうやら若干笑いを堪えてるようです。ぷぷぷ。


「…ナレーション腹立ちますね……えーと…お、お見舞いなら、花を摘んで行ってはいかがですか?きっと喜ばれますよ」
「…店長に花か…それもそうだな…そうしよう」


2人とも台詞がなんとなく棒読みっぽくなってますが……
叶狼がこんなことを言ったのには訳があります。
叶狼は赤ずきんと店長をまとめて食べてしまおうと(あり得ませんが)考えていたのです。
赤ずきんは叶狼の提案をナイスアイデアと思い、お花畑で早速お花を摘み始めました。


「……それでは僕は失礼します…」
「ああ、またな」


叶狼はテンション低めでその場を去り、自分の役割を果たすべく店長の店へと嫌々ながら向かっていきました。

……叶狼、“赤ずきんちゃん”の話知らないの?
まったく!狼なんだからもっと悪役っぽく演技しなさい!

「誰のせいだと思ってるんですか……」

え、何、私のせい?
ひどいなぁ…貴方がちゃんとお芝居しないのがいけないんじゃないんですか。言いがかりはやめてよね。


さてさて。店長宅前。
叶狼はついに店長の家に着いてしまいました。
さぁ叶!行くんだ!お前なら行ける!行くしかない!そうさ〜100%勇気〜もう頑張るし〜かな〜いさぁ〜♪(煩い)

……っと、あら?店長の家の脇から誰かが現れました。
猟師です。碓氷猟師さんが叶狼の前に姿を表しました。
…………何で?


「…よく似合ってるね叶」
「……勘弁してください碓氷先輩…」


叶はガックリと肩を落としました。相当嫌みたいです。


「そんなに嫌なの?叶」
「…嫌ですよ。こんな格好……」


頭を抱え項垂れてる叶狼の肩に碓氷猟師さんはポンと手を置きました。


「?」
「あのさ叶、話があるんだけど」
「…………」


目の前の碓氷猟師さんはとっても爽やかな、けれど有無を言わさないなんとなく怖い笑顔を浮かべていました。


さぁ!店長と赤ずきんを食べる前に猟師に追い詰められてしまった叶狼!
彼の運命やいかに!…




ところ変わってこちらは赤ずきん。


「…ふう。少し摘みすぎたか?まぁそういう台本だから仕方ないか。マズイ…急いで店長の家に向かわないと時間が…」


両の手いっぱいに色とりどりの花を摘んだ赤ずきんは時間を気にし、先程までに比べて少し早足で森の中を歩いていきました。

やがて赤ずきんは店長の家に到着しました。毎日動物達の声で少しは賑やかな辺りも、今日は気を使っているのかいつもより静かです。
赤ずきんは扉をノックしました。しかし、返事は返ってきません。
店長は具合が悪く眠っていると思った赤ずきんはゆっくりと家の扉を開けました。(※戸締まりはきちんと!)
大きな音を立てないように静かに寝室へ向かいます。
寝室の扉を開けると目先に見えるベッドには布団を頭から被った塊が見えました。


「店長、み…あ、赤ずきんです。お見舞いに来たんですが…具合いかがですか…?」


赤ずきんはそう言いながらベッドへと近づいていきました。
布団から覗く頭からは何やら人間には無いピンと立った“耳”が見えます。
不思議に思った赤ずきんは、ワインと果物の入った篭を側にあった机に置きながら訊ねます。


「…?店長、なんか不思議な耳生えてませんか?」
「……風邪のせいよ美咲ちゃん♪」
「………」


その台詞に違和感を覚えた赤ずきん。
そこで赤ずきんの脳裏には一つの疑問が浮かび上がりました。それは……


「……叶、この数分間で声変わりしたのか?」


聞こえてきたのは本来ベッドで寝ているはずの店長さつきの声でもなければ、物語の進行上寝ているべきの叶狼の声でもなかったのです。
誰の声かって?そりゃあ……


「…風邪のせいですよ」
「……ほお?…さっき会ったときは普通だったよな?
…………なんでお前がここで寝てるんだ碓氷!」
「あれ?分かっちゃった?」
「…お前は私をバカにしてるのか?声が違うことくらい分かるわ!」


布団から顔を出したのは先程叶狼に声をかけていた碓氷猟師さんです。
そりゃ赤ずきんちゃんびっくりしますわな。


「叶はどうした叶は!狼役は叶だろうが!」
「叶?さっき玄関で会って、心底嫌そうな顔してたから『役交換しない?』って言ったら『むしろ喜んで』交換してくれたよv」
「さつきさんは!さつきさんにも台本渡ってるんだからいきなり人換わったら困るだろ!」
「別に困ってなかったよ?『交換しました』って言ったら花散らしながら喜んで布団譲ってくれたよ?」
「店長ぉぉぉ!」
「…でもかえって良かったんじゃない?さつきさんと叶は原作では同じ空間にいたことはあっても面識は無いはずだしさ」
「そ、それはそうなんだが…」
「それに……さ」


碓氷猟師さん……もとい狼は赤ずきんの腕を引っ張り、あっという間にベッドへと押し倒し、組敷いてしまいました。
赤ずきんが手にしていた、たくさんの花が床にどさりと落ちました。

突然のことに戸惑う赤ずきん。
腕は狼に捕えられてしまい逃げるに逃げられません。
これはもう堪忍した方が良いのでは?


「鮎沢を食べる役は俺しかいないでしょ?」
「…な、は、離せ!」
「…じっとして鮎沢。俺今回、出番も鮎沢との絡みも少なくて寂しかったんだから」
「んなの知ったことか!」
「それに、ほら。“狼が赤ずきんを食べなきゃ”物語が終わんないでしょ?」
「い、意味が違うっ!こんな物語があるかっ!この……


…碓氷のアホー!



こうして赤ずきん美咲は成す術もなく、碓氷狼に“文字通り”美味しく食べられてしまったのでした。


めでたしめでたし♪


ついでに言うと、碓氷さんに『先に帰って良いよ』と言われた叶君達と、碓氷さんの登場ですっかり具合の良くなってしまったさつきさんなのでした。


ちゃんちゃん♪









〜舞台裏(さつきさんとナレーター)〜


(〜〜!もうっ!碓氷君ったらぐっじょぶよぉぉ!)
(さ、さつきさんとりあえず鼻血を…ティッシュティッシュ…)
(うふふv…脚本考えたのは誰かしら?)
(あ、私っス。前回真面目にいったんで…)
(じゃあやっぱり狼役代わるところも最初から予定に入ってたのね?)
(勿論っス)
(やっぱりそうよね!さすがよく分かってるじゃないっ!もうたまんないっ!)
バンバンッ←背中
(い、痛いッスさつきさん…)





end(?)

すみません…
ギャグ下手ですみません…(土下座)






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