タンペン
□好きなんだ
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コードとチューブをいくつもつなげられて、それでもなおソイツは笑う
「プラシド…」
淡く笑う顔に少しだけ触れてみる、微かに残った体温がひどく愛しい
「こんな世界でなければもっと自由だっただろうに…」
「自由ではなくても、プラシドがいてくれるならわたしはそれでいいよ」
自分がいれば自由などいらないというこの温もりも、もうすぐ消えてしまうのだろうか?
「……」
このコードもチューブも全て引きちぎってコイツを連れ去ってしまえたのなら、どんなによかっただろうか
何もかもを捨ててコイツとどこかに行けたのなら、どんなによかっただろうか…
「プラシド…」
「っ…名無しさん」
名前を呼ぶことさえ酷く苦しいのか、とかすかに笑った
好きなんだ
(と伝えられたら)
(どれだけよかったか…)
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