タンペン
□夕日と影
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空が紅に染まり、瓦礫の山がはっきりと黒く影を落とすなか、アイツは暗い瓦礫の山の上で夕日に照らされながら笑う
その光景があまりにも切なくて美しいものだからオレは言葉を忘れる
「ここには終わりしかない、何もすることなく、ただゆっくりと終わりがやってくるの」
綺麗にほほえみ遠くを眺める
「だから、何かをしたいのならここから出なくてはいけないの」
その目に何を映しているのか、オレには分からなかった
「誰かを待つんじゃなくて自分から外に出ていくの」
「お前は待っているのか?」
悲しげに影を落とした顔に思わず呟けばアイツはまた切なげにしかし美しく笑った
「待っているよ」
「何を?」
夕日と影
(終わりを…)
(アイツがそう言った時、すでに夕日は消えていた)
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