タンペン
□氷上の姫君
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「へっ…?」
当たりを知らせるくじ引きの鐘の音と、トメさんの嬉しそうな大声に間抜けな声をだす
「一等のペア映画ご招待券大当たりでーす♪」
トメさんに続き、セイコさんの嬉しそうな声
「おっ、すげぇじゃん!名無しさん♪」
「ホントッスよ、名無しさんくん一等を当てるなんてすごいっス!」
十代と翔の喜びの言葉に名無しさんは我にかえり、一言
「あぁ…」
と言った
「あぁ、ってそれだけっスかぁ!?せっかく一等を当てたのに!」
「一等と言われてもな…」
翔の言葉に名無しさんは困ったように頭をかく
今、購買部では福引きをやっている、一定の金額以上の買い物をするとくじがひけるというものだ。名無しさんも何か当たるかと思いやってみたのだが…
(一等か、二等がよかったんだけどな…)
名無しさんが狙っていたのは一等の映画ご招待券ではなく二等の最新パックのセットだったのだ
「はい、じゃあこれがチケットだよ、友達誘って観ておいで」
「あ、ありがとうございます」
トメからチケットを受け取って苦笑した
その日から名無しさんを取り巻く環境が変わった…
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