番人

□異世界を越えて
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それは唐突にやってきた


「あ…」


夜ご飯を食べている最中に声をもらした母にユウは首をかしげる


「どうかしたの?お母さん」

「あーうん、えー…」

「お母さん?」


何か説明しにくそうに苦笑いを浮かべる母にユウはもう一度首をかしげる
いったい何があったのか、とりあえず食事中は何もなかったはずだが…


「ユウ、ちょっとお母さん出かけてくるね」

「え?まだご飯途中…いや、こんな時間に?」

「うん。ちょっとお母さんの友達がピンチなの」


この時ユウが母のことを電波だと思ったのは内緒だ

ごめんね、と短く謝って席を立った母は何かを思い出したかのように1枚のカードをユウに渡す


「ユウ、お母さんが帰ってくるまでこのカードを預かっててくれない?」

「!司龍ーロスト・ドラゴン…これってお母さんの大切なカードなんじゃないの?」

「何かあった時のためにね、いいから預かってて」

「…うん、分かった」

「じゃあ、行ってくるね。留守番よろしく」


片手をひらひらと振って出ていく母の後ろ姿が、最後に母を見た時だった
それ以来母が家に帰ってくることはなかった






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