blue eyes

□涙で過去も流したの?
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彼の過去は壮絶で、私なんかが全てを背負いきれないほど深い。

その過去を抱え、ひたすら前だけを見据える彼はあまりにも不器用で



「…もう、涙も出ねぇや。」


またひとり、ふたりと仲間が殉職する中で彼がぽつりと呟いた。

恐怖、絶望を幾度となく味わう世界で



「…そうだね。」



中途半端な偽善はお互いの心、精神をボロボロにしかねない。


それでも、酷く悲しそうに笑う彼を黙って抱きしめた。



「……………。」


きっと彼の心は限界に近いのだろう彼の瞳がそれを物語っていた。



そんな時ふと、かつて彼に出会い芽生えた感情を思い出した。



この酷く不器用な人を救いたい。
この想いがきっと愛のだろう。


「…ナルト。」

「…ん?」

「……過去も全てひっくるめて、愛してる。」


と言った瞬間、彼とのの身体に距離が開いて



「…過去なんて、もうどうでもいいんだ。俺は…今の俺だけを愛してほしい。」


深海を映したような瞳が酷く揺れ、そっと彼に瞼を閉じ初めて見せた涙に



「…うん。わかったよ。」


不謹慎にも綺麗だと思ってしまった。


ねぇ、君はそうやって




?






(きっと君は、全ての過去を認めることは一生しないだろうし失ったものを取り戻そうともしないだろう。)





企画*Loving!Love!Loved!様へ提出*
素敵な企画に参加させていただきありがとうございました!



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