novel

□その世界の中で
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バーダックが惑星ルトタに行ってから三週間後。
ターレスは友人のピマーという男の家にいた。
バーダックに、戦友セリパやトーマがいるように、ターレスにも友人がいたのだ。

「そういえばさぁー…」

ピマーがおもむろに口を開いた。

「ん?何だ?」

「ルトタ星、侵略したってさ。」

「本当か!?」

「うん、でも…」

そのピマーの答え方に、ターレスは嫌な予感がした。

「でもって、何だよ?」

「バーダック?って奴が…死にかけたんだって。」

「バ、バーダックが、かっ!?」

その時。

ピピピピピ…

ターレスのスカウターが鳴り出した。

まさか…っ?

「悪ィピマー!オレ、ちょっと行かなきゃなんねーとこができた!」

「えっ?ちょっと、ターレス〜!」

そう言い残し、大急ぎでターレスはピマーの部屋から飛び出した。











ターレスが息をきらしながら向かった先は、宇宙ポッドの着陸場だった。
そして、そこには一つの宇宙ポッドが着陸していた。
中には生命維持装置をつけた、血だらけのバーダック。

「バっ、バーダック!!!」

意識がなく、瀕死の状態のバーダックは、そのまま治療室へと運ばれた。

ターレスの脳内には、血だらけのバーダックの姿がはっきりと焼き付いて、はなれなかった。

「(っ…ちく、しょぉ…)」

ターレスは、俯いて唇を噛んだ。




それから数日後。

なんとか一命を取り留めたバーダックは、治療カプセルから出てきた。
知らせを聞いて、真っ先に来たのはターレス。傷も塞がり、元気になった姿を見て、安堵の表情を浮かべた。

「おい…大丈夫か?」

「ああ。なんとか、な。」

「…な、なぁ、ここで話すのもなんだから、オレの部屋、来いよ。」

二人を不思議そうに見つめる宇宙船医がいたのをターレスは気づき、バーダックを促し、自身の部屋へと向かった。


そして部屋に入り、バーダックをソファーに座らせると、ターレスはルトタ星であったことを聞いた。


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