novel
□天使の翼
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「カカロット…」
ベジータの頬には、涙がつたっていた。
今までで、二回目に流す涙。
「カカロット…なぜ貴様は、いつもオレの手の届かない場所にいる?届きそうで、届かない。貴様はそんなやつだ。今だって…オレが決して行くことのできない場所にいやがって。」
届くはずの無い言葉。それでもベジータは、話し続けた。
「…オレには、貴様が必要なんだ。」
その時。
「ベジータ。」
後ろから、聞きなれた声がした。
振り向いてみると、そこには
「カカ…ロット?」
頭に金の輪をつけ、天使の羽を生やした彼は、確かに悟空だった。
「久しぶりだな。ベジータ。」
「な、なぜ貴様が…」
動揺するベジータをよそに、悟空は話し始めた。
「全部、聞かせてもらったぞ。
すまなかったな。オラ死んじまって。でも、ああするしかなかったんだ。」
「カカロット、オレは…」
「おめぇにはオラが必要なんだろ?」
自分の気持ちを既に知られていて、ベジータは言葉につまった。
「オラにもおめぇが必要だ。」
そして、それに対し驚きの返答が返ってきた。
「だけどな、オラがいなくても、ちゃんと修行してほしい。そんでもって、おめぇには強くなってほしいんだ。オラも、あの世でいっぱい修行して、強くなって…いつかまた、おめぇと組み手したとき、負けねえようにする。」
それが、悟空の願い。
「だから、もう戦わないなんて言うな。」
「…分かった。」
それが、貴様の願いなら。