novel
□その世界の中で
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「今日から遠征だ。一ヶ月近く帰って来ないかもしれねぇ。」
「…まーた遠征かよ。」
この頃は、頻繁に遠征の命令が出る。
ターレスは宇宙船でバーダックを待っているという形が多かった。
最近の遠征先の侵略は容易ではなく、一ヶ月、それ以上の時間がかかる星も少なくなかった。
もちろん、死者が出ることも。
「で?今回はどこ行くんだ?」
「ああ。確か『惑星ルトタ』ってフリーザが言ってたな。」
それを聞いて、ターレスは眉をひそめた。
惑星ルトタといえば、戦闘が得意なルトタ星人が住んでいることで有名だ。
今まででもサイヤ人が侵略をしに行ったが、帰ってきたのは数人、いずれも失敗に終わっている。
「大丈夫なのかよ…ルトタ星人は強いらしいぜ?」
「そうらしいな。さーてと。ちょいちょいと侵略してくっか。」
どうやらバーダックはターレスの言うことにも動じていない。
そう言って部屋から出ていこうとしたのを、ターレスは止めた。
「待て、バーダック!ルトタ星人に殺されたサイヤ人は多いらしいんだ。だから…」
「あ?どうした。」
ターレスは真剣な眼差しで、言った。
「死ぬような馬鹿すんじゃねぇぞ」
バーダックはそれを聞き、ターレスを安心させるかのように笑い、
「大丈夫だ、俺は死なねぇよ」
と言って部屋を出ていってしまった。
「ちっ、あいつ…」
まぁあのバーダックが死ぬなんてありえねぇか。
ターレスは、そう考えていた。