novel

□その世界の中で
1ページ/3ページ



「今日から遠征だ。一ヶ月近く帰って来ないかもしれねぇ。」

「…まーた遠征かよ。」

この頃は、頻繁に遠征の命令が出る。
ターレスは宇宙船でバーダックを待っているという形が多かった。

最近の遠征先の侵略は容易ではなく、一ヶ月、それ以上の時間がかかる星も少なくなかった。
もちろん、死者が出ることも。

「で?今回はどこ行くんだ?」

「ああ。確か『惑星ルトタ』ってフリーザが言ってたな。」

それを聞いて、ターレスは眉をひそめた。
惑星ルトタといえば、戦闘が得意なルトタ星人が住んでいることで有名だ。
今まででもサイヤ人が侵略をしに行ったが、帰ってきたのは数人、いずれも失敗に終わっている。

「大丈夫なのかよ…ルトタ星人は強いらしいぜ?」

「そうらしいな。さーてと。ちょいちょいと侵略してくっか。」

どうやらバーダックはターレスの言うことにも動じていない。
そう言って部屋から出ていこうとしたのを、ターレスは止めた。

「待て、バーダック!ルトタ星人に殺されたサイヤ人は多いらしいんだ。だから…」

「あ?どうした。」

ターレスは真剣な眼差しで、言った。

「死ぬような馬鹿すんじゃねぇぞ」

バーダックはそれを聞き、ターレスを安心させるかのように笑い、

「大丈夫だ、俺は死なねぇよ」

と言って部屋を出ていってしまった。

「ちっ、あいつ…」

まぁあのバーダックが死ぬなんてありえねぇか。

ターレスは、そう考えていた。


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ