novel
□好きなんだよ
1ページ/4ページ
「よぉ、バーダック。」
「…また来たのか」
オレが部屋に入ると、バーダックは嫌そうな顔をする。
「…まあまあ。そんな顔すんなよ」
オレの言葉も無視し、バーダックは酒を飲んでいた。
「あらあら…昼からそんなに飲んでたら、潰れちゃうんじゃねーの?」
「うるせぇ…俺が酒に強いことぐらい、お前も知ってるだろ?」
「フッ…まあな。」
特にフリーザから命令が無い日、オレはバーダックの部屋に通うことが日課になっていた。
理由はもちろん、あいつが好きだからだ。
荒い言動、好戦的な性格、頬の傷… あいつの全てに、オレは心を奪われた。
初めはあいつも拒んでいるのか、照れ隠しなのか、否定する言葉ばかり発していたが、今ではそれも少なくなってきていた。
と、いうことは、オレを受け入れ始めてるってことだ。
「なあ、オレと勝負しねぇ?酒飲むよりは楽しいと思うぜ?」
オレはいつものように組み手に誘った。普段ならかったるそうにしながらも付き合ってくれたが、今日は違った。
「悪い。今日は無理だ。」
「あ?何でだよ。」
「…今から行く所があるんだ。」
どこに行くのか気になったが、オレはあえて聞かないことにした。
「あ…そ。じゃー行ってくれば?」
「ああ。 じゃあな。」
バーダックは素っ気なく答え、飲んでいた酒の瓶を持ち、出て行ってしまった。
一人部屋に取り残されたオレ。
ふとテーブルを見ると、バーダックのスカウターが置いてあった。
チャーンス♪と思ったオレは、バーダックの後をつけることにした。
スカウターを装備してたら、後つけてることがバレちまうからな。