俺スト置き場

□ある写真家の見た戦争
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病室の机の上には一枚の写真がある。多数のゾイドの残骸の中、二機のライガー型、エナジーライガーとライガーゼロファルコンが寄り添うように立っている写真。

「ああ、それはたしか有名な写真ですよね。昔、見た覚えがあります」

並んでベッドに寝ている二人の老人のうち一人が、後者の写真を指す。

「…ああ、知っていますか。もうずいぶん古い写真ですがね」
「ネオゼネバス皇帝のゾイドと、名も無き共和国兵のゾイドが並び立っている。…当時、これほどまでに終戦を感じさせる物もありませんでした。新聞で初めてその記事を読んだ時の衝撃はいまでも覚えてますよ」

老人は昔を懐かしむように目を細めている。

「実は、それを撮ったのは僕なんですよ。…昔、戦場カメラマンをしていてね」

相手が驚いたようにへぇと声を漏らすと、もう一人は照れたように笑った。


あの時代は激動の時代だった。
年老いた戦場カメラマン−−ロングロウ・ハミットは思い出していた。
そう、あれはもう60年ほど前のこと。
前大戦からは戦争のない平和な今からすると、考えられないような時代だった。


…僕は、あの戦争で何を得たんだろうな。


頭が働かない。
ロングロウは、自分のまぶたが下がっていくのを感じていた。
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