小説
□君が好きだと知った時
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「……痛っ!!」
「大丈夫?獏良君。」
†君を好きだと知った時†
思い切り擦りむいてしまった。
左腕が血だらけだ。
「だ、いじょうぶだよ。すぐ治るって!」
「保健室、行って来るね。」
痛みを堪えながら走り出した、その時。
『おい、宿主。代われ。』
耳の奥で聞こえた声。
「え?」
思う暇もなく、いつの間にか身体の支配権はバクラの元に。
『なんなの、いきなり!?』
声をあげると、
「うるせぇ、黙ってろ。」
ぶっきらぼうに返される。
知ってる。
バクラは、本当は凄く優しいんだ。
だからこうやって、僕が痛みを感じない様にしてくれてる。
ただ、
『…照れてるんだよね。』
「あ゙ぁ!?」
『何でもないよ。』
聞かれてしまったか。
そう、バクラの言動、行動は実は照れ隠しで裏打ちされていたりするのだ。
保健室の代わり映えしない景色を心の部屋の中で見つめつつ、ふとそう思った。