- 小説 -


□Your eyes are staring at the ground. 後編
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全開でZを飛ばし、達也のいる付属病院へ向かう。
俺も昔の事故で骨の1本や2本軽く折れたから、どれくらいの痛みか想像がついた。
「大丈夫だ。すぐ着くからな…」
「…はい」
バケットシートの後ろから晶夫の腕だけが伸び、必死にアキオの腕を支えている。
「ごめん、アキオ…」

昼時の病院はやはりかなり混雑していて、駐車場を見つけるのも一苦労だった。
かなり離れた所に停めてしまったが、急いで外科へと向かう。
「あれ…あいつ整形に移ったとかどうとか言ってたような…」
「外科で大丈夫ですよ、北見さん」
混み合う廊下をファイルのような物をもって、スタスタと達也がこちらに向かって歩いてきた。
「達也!」
「こっちの診察室を空けてもらいました。アキオ、入れ」
「う、うん…」
それだけ言って、達也はすぐに中に入って言ってしまった。
晶夫もアキオの腕を支えたまま一緒に入って行き、俺は1人取り残されてしまった。
「……どうするかな」
アキオを病院に連れてくるという目的を果たしてしまい、急に手持ち無沙汰になってしまった。
ぼんやりと突っ立っていると、思ったより早く診察室のドアが開き、達也が顔を出す。
「北見さん」
「あ、達…」
「外に座って待っていてもらえますか?お時間いただきます。では」
また要件だけ言われ、返事もしないうちにドアが閉められてしまった。
「はぁ…」
怒ってるわけじゃなくて…100%仕事モードって感じだ。
それがわかっただけでも一安心なんだが、急にケンカが始まる…何てことないよな?
晶夫もいるから大丈夫だろうけど、一体診察室の中はどうなっているんだ…!
 
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