- 小説 -


□Promise before Good-bye.
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「…どーした?」
「いや…名刺って言うか、名刺なんですけど…」
躊躇いがちに相沢が取り出した名刺は、北見には見慣れない色でキラキラと輝いていた。
「…ホストクラブ?」
「えぇ、そこで働いてるんです。あまりこう言う名刺、持ちたがらない人がいるんで…」
ものめずらしそうに受け取った名刺を、まるでスカシでも見るようにマジマジと見つめる。
「いやいや、立派な名刺だろ。それに"いい男"するのは大事だぜ」
「は、はぁ…」
いい男する。
つまり、着飾って生きることも大切、と、そう言う意味なのだろうか?
頭の上に疑問符が浮いている相沢の横で、北見は丁寧にソレをしまい、車の方に向き直った。
「で、どうしたいんだ?このスープラ」
「上を走ろうと思ってます」
「………」
「できませんか?」
「できねーことはねーよ」
だまったまま車を見ていた北見は、振り返りニヤリと笑った。
「とりあえず、このまま上走るか」
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