短編
□新手の病
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「で、用って何?」
リビングでヒナギクはハヤテにたずねた。
ちなみにヒナ母はお買い物に行ってくるわといってわざとらしく出て行った。
「はい、えーと、そーの」
告白すると決めたもののハヤテにはどうすればよいのかわからなかった。
マリアに脅されて半強制的にこの状況に追いやられたのだから無理もない話しだが。
しかし、マリアは脅すだけではなく重要なことも言ってくれた。
自分の思ってることを素直に口にすればいい。
ハヤテはそれを思い出しそれに従ってみることにした。
「あの、ヒナギクさん。
僕このところ、ヒナギクさんのことが気になってしまって仕方がないんです。
たとえば・・・ヒナギクさんを見てるとドキドキしたり。
ヒナギクさんが他の男子と話してるとイライラしたり。
えーと、もっとヒナギクさんのことが知りたいとか思ったり。
あー、えー、なんていうかその〜、ヒナギクさんのこと好きみたいなんです」
ここまで言ってからハヤテは初めて自覚した。
いままではマリアから言われたのでそうなのだろうと思っていた。
だがここにきて初めてハヤテは自分がヒナギクのことが大好きなのだと思った。
それと同時に襲ってきたのは後悔の念。
今考えてみればヒナギクが自分などに振り向いてくれるはずもない。
相変わらずの自分の運の悪さを呪ったが・・・。
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