笛!短編5

□温かい言葉に、
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「もう、別れよう」

眼には涙をいっぱいに溜めて、言いたくないことを口にした。

「じゃーな」

振り返る事もなく、立ちさっていくキミ。

その瞬間にもうこの恋は終わってたんだと、今更ながらに気付かされた。

「ひっく、」

うわぁん、と泣きたいのに、彼とすれ違い様に、屋上にやってきた若菜くん。

隣に腰を掛けて、見つめてくる。

「ひとりにして、」

震える声に震える体を抑える様に声を振り絞った

「…ひとりにできるわけねーじゃん…」

いつもの笑顔がなく真剣な瞳に、まるで時間が止まったみたいに動けなかった。



そして、ゆっくりと若菜くんは動き出す。

何が起きたかなんてわからずにいた

気が付くと、腕の中にいた。


それと共に溢れる涙に

「泣きたきゃ泣けばいいんじゃん?」

うわぁん、と泣きじゃくる中で、
「嫌だ、っつってもそばにいるから」





温かい言葉に、


凍り付いた心が溶けていくのを感じた






End


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