笛!短編3
□あなたの傍
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この空間が好き。
静かな一馬を見た。
真剣な表情をしていて、
ドキッとしてしまう。
あたしの手にはコーヒーとココア。
コーヒーが苦手な一馬のためにと、普段は家にないココアを用意した。
「ね、一馬」
「…」
「かーずーまー!」
「あ゛」
返事をしない一馬の手からゲーム機を取り上げると、
恨めしそうにこちらを見る。
「ココア飲む?」
そんなことは気にせずにあたしは話しかける。
「ん、サンキュ。」
あともう少しでクリア出来たのに、
とふて腐れながらもココアを手にする一馬。
「ひまなんだけど」
「悪ィ」
「ゲームしててもいいよ。けど、返事くらいしてほしいの」
ゲームに嫉妬なんて、我ながら大人げないなぁと苦笑い。
「悪ィ。つい夢中になっちまって」
申し訳なさそうに
謝る一馬
「ここ、来いよっ」
と頬赤らめる一馬を見て
昔と変わってないな、なんて思った。
ソファーの上で胡座をかいている一馬の膝を枕にして寝転がる。
何だか、一気に安心感が生まれ、あたしは眠りに落ちた。
あなたの傍
それがあたしの居場所。
そう信じてもいいですか?
End