笛!短編3
□泣いて、泣いたその先には
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好きだった人が、付き合う瞬間を見て、
ホントは見たくなかった。
あたしだって、好きだって伝えたかったよ。
どうしようもなくて、
辛くて、泣いた。
だけど、それと共に思い出す真田くんの言葉。
あの言葉のおかげで泣く事が出来た。
優しい真田くん。
昨日までと違って、
もう見なくなったあの背中。
きっと、あの手は、あの人に触れている。
あたしの想いは昨日の空に浮かぶハートと一緒。
雨で壊れたハート。
だけど、もう悲しくなんかないよ
ありがとうって伝えたいのに
学校に来てない真田くん。
「真田くん、来ないかなぁ」
どうしたんだろう
会いたいなぁ
そう思ってしまう気持ちに気付いてしまった。
泣いて、泣いたその先には
真田くんの照れたような笑顔があった。
End