小説

□悋気と言う名の愛
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とっさに体を過敏に反応させたエドガーにより、セリスは倒れる事にまでは至らなかった。


「大丈夫かい?レディ」

「ええ、平気よ。ありがとう、エドガー」

密着された身体に触れ合う手と手。


ドクンッ!!


その光景を目撃していたティナの胸には今までに無い程の痛みが走った。経験した事の無い痛みに、思わず胸を押さえる。


「……っ…はぁ…は……!!」


苦しい。

苦しい…。


呼吸が上手く出来ない。酸素を身体に送り込めない。

息を吸う事がこんなにも困難な事だったかしら…?


私の身体…、何処かおかしい。

エドガーとセリスが近付けば近付く程、胸の痛みが増していく。

そう考えざる終えなかった。痛みの発祥は判っているが何故そんな事が自身の胸の痛みとして関連しているのか全く判らない。

この症状に検討が付かなかった。




「ティナ?」

異変に気付いたエドガーがティナに近寄り顔を伺った。

「顔色が悪い様だけど…体調でも悪いのかい?」

「え…、そんな事…」


エドガーには彼女の強がりは通用しない。

そっとティナの頭を撫でながら掌を差し出し自然な流れで彼女の手を取る。


「セリス、ティナを部屋まで送ってくるよ」

「ええ。お願いするわ」

セリスに了承の有無を取ると紳士にこの場から立ち去ろうとする。ティナは僅かながらそれに拒んだ。

「あ、エドガー、私…大丈夫だから」

再度言い張ると今度はセリスまでもが側に寄って来た。

「ティナの大丈夫は当てに成らないわ。無理をしないで少し部屋で休んでなさい」



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