小説

□嫉妬心
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【嫉妬心】


フィガロ城の図書室。城の図書室だけあって本の数や種類は充実している。

この場所で国王であるエドガーは調べものをしていた。

そこに同じ顔をした筋肉質な男が近付いてきた。

「兄貴!」

彼はエドガーの弟のマッシュだ。山に篭り日々修行に専念している。時折、我が家ともいえるフィガロ城に帰ってくる。

「マッシュ、帰ってきたのか?」

エドガーはパラパラと本を読んでいた腕を止める。

「ああ、兄貴は調べもの?相変わらず忙しそうだな」

「まあな」

久しぶりの兄弟である2人の他愛もない会話。長々と話してしまう。



「程々にな」

一言兄であるエドガーに忠告をして手をひらひら揺らせてマッシュは出ていった。


本の文字から図書室の中央部分にある時計に目をずらす。


もうすぐティナが来るな。

約束の時間までもう少しだ。

早く終わらせよう。


先程より少し作業を速める。


久しぶりに会えるティナにエドガーは胸漕がれて自然と顔がニヤける。

「こんな顔、誰にも見せられんな。1人で良かった」




******




パタンと本が閉じられた。これで今日の仕事はおしまい。

書類の束を持って一端部屋に戻りそれを片付ける。そして全身を写す鏡の前で身だしなみを整える。

「よし」

鏡の自分に満足した様子のエドガーはそのままティナが待っているであろう客室へ歩む。
扉の前まで来た足は聞き慣れた声に因って停止する。



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