Nitro+CHiRAL
□Frenzy and appetite
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ハッと気がついた時には俺の手は真っ赤に染まっていた
それと同時にいい香りもした
よーじを見ると辛うじては生きていたが、両手両足が切り落とされ、傷口が焼かれていた
切断された両手両足は、赤い断面と純白の断面を晒して、俺の周りに散らばっていた
俺がやったのか?
自分がやったのかはよく覚えていない
確か、よーじが誰かの名前を読んだ辺りから記憶が曖昧だった
誰か
誰の名前だったっけ?
思い出せない………
まぁいいや……覚えてないってことはさして重要じゃないんだろう
そう簡潔に思考を遮断するとよーじをそっと抱き寄せ寝転んだ
控え目な鼓動と暖かな温度がよーじがまだ生きていることを知らせる
前より小さくなってしまったよーじに腕枕してやる
よーじはよく眠っていて起きない
ふと切断した片手を取って、所詮恋人繋ぎのように指を絡めた
よーじの手は思ったより大きくてサラサラしていて
冷たかった
でも、その冷たさが今腕枕をしているよーじの暖かさと比較できてちょうど良かった
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