Nitro+CHiRAL
□A promise
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「…蓉…司…?…!…おい……コレ!」
俺は心底驚いた
勿論、蓉司に抱き付かれたことも驚いたが、何よりも……
触れた蓉司の腕がとても冷たかった
その冷たさはまるで………生き物ではない冷たさだった
「何も言わないで…聞かないでくれ………睦、ありがとう……今日1日凄く楽しかった………約束、守れて良かった……俺……睦と会えて、友達になれて良かった幸せだった…………もう会えないけど……でも……また…会えるといいな……ありがとう…さようなら。睦」
蓉司はそっと離れて行った
「蓉…司」
振り返ると蓉司の髪が夕日によって、キラキラと光り輝いていたいつもは白い肌も夕日に彩られて仄かに染まっていた
「睦……ありがとう」
微笑んだ蓉司の姿は
本当に綺麗だった
「もう、行かなきゃいけないから………」
悲しそうな顔する蓉司
なんとなく
もう、本当に会えないんだと思った
蓉司が前に向き直った
「………っ!蓉司!」
消えていきそうな蓉司を呼び止めた
蓉司が足を止めて、ゆっくりと振り向いた
蓉司と話すのもきっとコレが最期だ
何か最期に伝えたいことはと、懸命に言葉を探した
「………また、会おうな………絶対、約束な。別に生きてる内じゃ無くてもいいから………蓉司達に……俺はまた会いたい
もし、また会えたら……また3人で遊ぼうぜ」
俺は泣く代わりに最大級の笑顔で送ってやろうと心に決め、笑顔で蓉司に言った
「………あぁ」
蓉司はふんわりと笑って頷いてくれた
「約束、な!城沼にも伝えとけよ!」
小指を軽く上げ、悪戯っぽく笑った
「約束………それじゃあ」
蓉司も悪戯っぽく笑ってくれた
「おぅ!またな!」
『さようなら』は言わなかった
また会うって約束したから
蓉司と城沼が連れ立って、夕日に染まる道を歩いていった
俺は2人が小さくなって見えなくなるまで2人を見送った
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