Nitro+CHiRAL
□Remembrance
1ページ/2ページ
「なぁ。リン」
「ん?」
「なんでいつも写真を撮ってるんだ?」
『Remembrance』
「へ?」
いつものように変わらず中立地帯のホテルのソファーで寛いで居ただけに、アキラの言葉にリンは心底驚いた
いつも他人に対しては興味を示さないアキラが、何故そんなことを思ったのか………
「え、なんで?」
「いや………ただ何と無くだ……別に深い意味は………」
そう言うと、アキラはフイとそっぽを向いてしまった
リンはそんなアキラを見て、ニヤリと口角を吊り上げた
「アキラ……」
「うわっ!」
リンはソファーに座っていた、アキラの膝に飛び乗った
「ッッ!リン!」
「昔ね………俺には沢山ダチが居たんだよ……ダチって、言っても皆で集まって騒いだり、悪さしたりするような奴らだったんだけどさ………そんな中にさ、スッゲェ好きだったヤツが居たんだ。
いや、好きってか………自分でも良く分かんない感情なんだけどさ………」
「リン?」
「そいつさ………結構な平和主義者で……喧嘩とか、嫌いで………当時の俺とは性格とか全然違ってたんだけど……凄く凄く………。
そいつが星……好きだったんだ………だから、俺も影響されて一緒に星眺めたり………
ずっと、こんな風に馬鹿騒ぎしたり、星眺めたりする日が続くと思ってたんだ………でも………」
「リン……?」
「あの日、一瞬にして皆消えた。
俺が好きだった奴も消えた………
皆々………俺の前から居なくなった………」
「リン………」
「俺、その時けっこうキタんだ………でも、想いを胸にして立ち上がってずっと歩んで来たんだ………写真を撮り始めたのは、トシマ来てから………出会った奴も次の日には、屍になってたり……敵になってたり………
だから、ちょっとでも色んなことを思ったり感じたら……忘れないように…写真を撮っとくことにしたんだ………
あの日みたいに……いきなり周りが変わっても……楽しかったことを思い出せるように………って
俺にとっては、こんな何でもない光景や日常も宝物なんだよ……」
「リン………」
アキラが、リンに微かに手を伸ばした瞬間
カシャッ!
「なっ!?」
無機質な機械音が耳の横で響いた
「イッエーイ!アキラとのツーショットGET!」
デジカメを持って、得意げなリンがアキラの膝の上から飛び降りた
「ヤッタヤッタ!
この写真、ケイスケに見せたら、どんな顔するかなぁ」
さっきまでのシリアスな空気は何処へやら、今はニコニコとアキラとの写真を見つめ笑っている
「ッ!リンッ!!」
アキラが手を伸ばし、デジカメを奪おうとすると
「あっ!ちょっ!
この写真は絶対ダメ!
後でおじちゃんとかケイスケとかケイスケとかケイスケとかに自慢するんだからさ!」
ヒラリと身を交わし、写真を保存をしてからバックの中にきっちりしまってしまった
「………はぁ。もういい……好きにしろ」
アキラも諦めた顔で、ため息を吐きながら再びソファーにもたれ掛かった
「えへへへ……
でも、こんなお宝写真。滅多に撮れないよなぁ
アキラ、ありがとうね」
ニコニコと無邪気な顔で笑うリンにアキラは何も言う気が起きなくなってしまった
END