第一部 鉄の少年

□プロローグ 旅立ちの日に
1ページ/5ページ


――――オレが憎いか、小僧――――





俺を見下ろし、あざ笑うような口調で語りかけてくる。


その声色は、まるで自分の優位が当然であるかのようだ。





――ああ。もちろん、憎いさ。……何たってお前は、父さんと母さんの仇だ。





その言葉を発する事は出来ず、うめき声を出すことすらままならない。


せめてもの意思表示に、思いっきり憎しみを込めた眼で睨み上げる。





――――ならば、殺しに来るがいい。オレは別に逃げも隠れもせん。まあ――――





そこで一度言葉を切ると、憎らしい笑みと共に言葉を続けた。





――――オレの“呪い”に貴様が耐えられれば、の話だがな――――





そう言って立ち去る“アイツ”の背中を見送って、俺の意識は途切れた。










これが俺『鍔騎闘我』の、最も古い、最初の記憶だ。


 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ