第一部 鉄の少年
□プロローグ 旅立ちの日に
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――――オレが憎いか、小僧――――
俺を見下ろし、あざ笑うような口調で語りかけてくる。
その声色は、まるで自分の優位が当然であるかのようだ。
――ああ。もちろん、憎いさ。……何たってお前は、父さんと母さんの仇だ。
その言葉を発する事は出来ず、うめき声を出すことすらままならない。
せめてもの意思表示に、思いっきり憎しみを込めた眼で睨み上げる。
――――ならば、殺しに来るがいい。オレは別に逃げも隠れもせん。まあ――――
そこで一度言葉を切ると、憎らしい笑みと共に言葉を続けた。
――――オレの“呪い”に貴様が耐えられれば、の話だがな――――
そう言って立ち去る“アイツ”の背中を見送って、俺の意識は途切れた。
これが俺『鍔騎闘我』の、最も古い、最初の記憶だ。