中編
□白雨の空物語 第二章
1ページ/5ページ
明るい夏の空に月が昇って、沈んだ。
対照的に昇った太陽の光を、総悟は目を細めながら睨んだ。
その視界は、二つの影が見える。
嫌いな影。
+白雨の空物語 第二章+
「あ、大串君」
「……万事屋」
朝一の見回りの途中。
今朝も異常ない、と判断を下し屯所に戻ろうとした矢先だった。
「朝っぱらから大変だねェ、真選組は」
万事屋、坂田銀時と出くわしたのは。
「そォでもねェ。これは俺の生きがいだからな」
「大串君が言うと、なんつーか……キモイんですけどォ」
「んな」
銀髪の頭を掻きながら言う銀時を、煙草を銜えながら睨みつける。
その敵視された視線を感じながらも別に気にすることなく、
銀時は話を逸らした。
「そういや、あの子は?あのサドの子」
「総悟か?さっきまで一緒に行動してたんだけどなァ、見失った」
「副長さんが部下の行動を把握しないでどーすんだ」
「関係ねェよ」
いなくなったあいつが悪い。
そう土方は続け、ポケットに手を入れた。
「ちっ、煙草切らしたか…」
「あいかわらず、ニコチン依存症ですかァ、コノヤロー。
止めとけ大串君、ニコチンは今じゃ世界の敵。そして――」
.