地球へ

□幸せを分かち合う
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「グラン・パ、知ってる?今日は七夕の日なんだって!」
突然現れたと思ったら、その大きな体にまとわりつかれた。
サイオンで身体を浮かしてるから良いものを、本来なら自分より大きく育ったトォニィにこんな風に体重をかけられたら、押し潰されてるところだ。
しかし、たとえサイオンを使っていたとしても邪魔なものにはかわりない。
僕はいまだに離れようとしないトォニィを引き離しながら答えた。
「知らないな」
離されたことに不満の色を浮かべながらも、トォニィは語り始めた。

「先生の部屋に合った本を読んだんだ。織姫と彦星って人がいて、二人は身分が違いながらも出逢って、恋に落ちる。だけど、二人は愛し合うことに夢中になって仕事を愚かにしたから、怒った天帝に、天の川によって引き離されたんだよ。でも、二人を不憫に思った天帝は年に一度だけ天の川に橋をかけて、二人を会わせてくれる。そういう物語があって、今日はその年に一度だけ会える日なんだって」
「へぇ、知らなかったな。で、その日が何かお前に関係するのか?」
わざわざそんな話だけをしに来たとは、考えられない。何かあるに決まってる。
いぶかしげに問いかけると、トォニィは嬉しそうに笑った。
「この話にはまだ続きがあってね、二人は今日のこの日の幸せをお裾分けしようと、願いを叶えてくれるんだよ」
…そんな非常識な。
「もちろん僕は、グラン・パとの永遠の愛をお願いしといたからv」
ハァ…どうせこんなことだとは思っていたが…。
そうだ!
「トォニィ、僕たちはまるで織姫と彦星のようだね」
「グラン・パ?」
僕の発言に、トォニィは年相応の顔で瞠目する。
「互いを想い合うばかりに、仕事に手がつかなくなる。…このままじゃ、僕たちは引き離されてしまう。そぅならないためにも、しっかり自分の仕事はまっとうしよう」
最近では、僕からの命令以外の仕事をサボリがちのトォニィにはこぅ言うのが一番だと考えた。
俯いて、僕の言葉の意味を理解しようとしている様なトォニィに、内心上手く行ったと思った僕は、表面上シンミリしながら、ガッツポーズをしていた。
「…グラン・パ」
黙りこんでいたトォニィが、突然僕の肩を両手で掴んだと思ったら
「大丈夫!僕が、僕たちを引き離そうとするやつをやっつけるから!たとえソルジャー・ブルーがこようとも、キースがこようとも、僕たちを引き離すことは不可能だ!!」
あれ?何だこの展開?
自信満々にそう言ってのけたトォニィに、失敗を悟った。…と思ったら、急に怒りがこ見上げてきた。
「…なら、……ない」
「え、何?グラン・パ」
「お前が仕事をサボるのなら、僕はお前に年に一度しか会わない!」

結局、僕に一番弱いトォニィには、僕からの言葉が一番なんだな。


08.07.07

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