地球へ

□あなたの傍に
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誰だろう?
どこか遠くから、声が聞こえる。
強く、全てを包み込むような、そんな優しい―――祈りの声が。



温かい場所。僕はその深い包まれた場所で、優しい鼓動を子守唄に眠っていた。
「私のかわいいぼうや、早く生まれておいで。パパとママはここにいるわよ」
「…動いた!ここに僕たちの愛の結晶が、命の鼓動があるんだね。カリナ、本当にありがとう」
子守唄にまじって聞こえる声。僕のパパとママになる人の、幸せに満ち足りた心地よい声。
僕はその声を聞いていると、嬉しくなる。
でも、どこか離れた場所から聞こえてくる声。
小さく…祈るような、耳を澄まさなければ掻き消えてしまうような、けれど―――強い意志が込められた声。

『…ナスカの子よ。君は未来への希望……僕たちの明日への第一歩だ。強くなれ。…ミュウよりも…人間よりも…強く、…強く生まれてこい』

あなたは誰?どこにいるの?
パパとママよりも、僕の誕生を一番に望んでくれる、必要としてくれる人。
貴方の声は未来への希望に満ちているのに、貴方の心は…どうしてそんなに泣いているの?

この気持ちは何だろう?
貴方が泣いていると、僕も切なく、悲しくなる。

泣かないで。
―――僕が守るから。
笑って。
―――僕が今傍に行くから。

貴方は独りじゃない。


大丈夫。僕が、僕達がいる。




08.07.02

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