小説
□ジュリエッタセンサー?
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−あいつが来る−
眠っていた脳が一気に覚醒する。ベッドから飛び上がり、ドタドタと玄関に向かい扉に鍵を閉める。
そこで思った。
−アイツに鍵なんて無意味じゃないか?−
冷や汗が滲み出る。急いで着替えを終えて、玄関を飛び出した。
無意味に街を全力疾走する。目的地なんてないが、とにかく離れたかった。
あの晩の事が頭に甦る。家を知られた以上、悪寒を感じたら逃げるしかない。
「あのクソ親父が連れてくるから」
不覚にも入浴室から出てきたところを押し倒された。当然、裸状態だったので、派手な動きが出来なかった。
男の急所を思い切り蹴飛ばし、マキは危機を回避できた。
−アイツなら、回復してなくても来るかもしれない!−
痛めつけてもゾンビの様に起き上がってくる。
『マキ・・・愛してる』
「だー!!なんで思い出すのよ!!」
頭に坂本の声が響く。足が止まり、悪寒が増した。
「マキ・・・」
心臓が引っくり返るかと思うくらい驚いた。ゆっくりと振り返る。
ダーク系のスーツ、不健康そうな色白な肌、手入れされていないと思いそうだが、整っているセミロングの髪。整った顔立ち。
「!!」
マキは走り出そうと背を向けたが、先に坂本の手が、マキを捕らえた。
「なんで逃げるんだ?マキ」
なんでと言われれば困るが、あの晩の事が頭の中に甦って頬が赤く染まる。