らき☆すた小説
□一話「冷たい瞳=冷たい奴?」前編
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七月上旬のある日曜日午後17時秋葉原…
「はやく〜、かがみん〜♪」
「またあんたは…かがみん言うな!!」
ゴン!!
禁句を言われたかがみは思いきりこなたの頭をグーで殴る。
「いった〜…凶暴だよかがみ〜ん…」
「何?もう一回ぶつわよ?」
「うっ、すみません…」
かがみから発せられたオーラに圧され、こなたは素直に謝った。
「ったく!」
「ねぇお姉ちゃん、こなちゃんも反省してるし許してあげようよ」
「そうですね。泉さんも反省してるようですし」
つかさとみゆきがこなたを許してあげるように弁解する。
「うぅ…あーもう、わかったわよ」
「うっうぅ〜、ありがと〜つかさ、みゆきさん♪」
「「いえいえ」」
こなたが許された後、四人は日が暮れたという事で自宅に帰ろうと駅へと向かっていった。
「もう日も暮れるし帰るわよ」
「…………」
ドカッ!!
帰ろうとして駅に向かっていたかがみ達の前から歩いてた男が突然ふらついてかがみにぶつかってきた。
「痛ッ!…ちょ、ちょっとあんた謝りなさいよ!!」
「…………」
ダッ!!
かがみが謝るように男に訴えるが、かがみにぶつかった男は逃げるように走っていく。
「ったく、なんなのよあいつ……あ!バックがない!!」
「あー!かがみ、さっきの男がかがみんのバックもってるよ!!」
こなたが指差した方向には、さっきの男がかがみのバックを抱えて人混みの中を走っていた。
「アァッ?!あいつ……ちょっと待ちなさい!!」
バックを取り返そうと、かがみは男を追って走りだす。
「あっ!かがみんまって!!」
「待ってよお姉ちゃ〜ん!」
「待ってくださいかがみさん!」
こなた、つかさ、みゆき達もひったくりの男を追いかけていったかがみを追いかける……
その一方で別の場所…
「この街の電気街とかの場所もわかったから、そろそろ埼玉に帰るか……」
秋葉原の電気街の人混みの中、片手に地図を持って独り言を呟いていたセミロングの青年がいた。青年が用件を終えて家に帰ろうとして駅に向かっていたが、その時…
「ちょっと待ちなさい!!いい加減にしなさいよ!」
突然後ろから誰かが叫んでいる声が聞こえ、青年がその方向を見ると、少女と男が何やら鬼ごっこのような事をやっている光景があった。
「…………なんだ?」
「あっ!そこの人今走っている男を捕まえてください引ったくりなんです!」
目の前から被害者らしき少女、かがみが青年に向かって男を捕まえるようにお願いする。状況を理解した青年は男を捕まえる為に地図を畳んでポケットに突っ込んで拳を鳴らした。
「ふぅ……さて、と…」
ひったくりの男は目の前にいる青年が邪魔な為、避けようとしたが……
「甘いな……」
ガシッ!
ブォン!!
ドン!
青年は引ったくりの腕を掴み一本背負いをした。そしてようやく追いついたかがみが息を切らしながら近づいていく。
「やっと捕まえたわよ!さぁバック返してもらうわよ!」
かがみは引ったくり男からバックを取り返す。そんな中…
「あ、いたいた。えーっと、貴方が引ったくりを捕まえた方ですか?」
誰かが通報してくれたのか、パトカーがやってきて、おまわりさんがかがみと青年の所に駆け寄って来た。
「いえ、私じゃなくてそこにいる男の子です。彼が私のバックを取り返してくれました」
かがみがおまわりに言うと、すぐにおまわりが青年に近付く。
「いやー、引ったくりを捕まえてくれてありがとうございます。最近は此処等でひったくりが多くて…」
おまわりは頭を下げながら青年に礼を言う。
「いえ…」
そんなおまわりに青年は曖昧に返事をし、かがみに近付く。
「あの…捕まえてくれてありがとうござ…」
かがみは御礼を言おうとするが、青年がかがみの声に割り込み…
「気をつけろ……」
青年はその一言を言い、駅に向かってその場を立ち去っていった。
「な?!な、なによあいつ?!人が御礼言ってんのに気をつけろって……」
かがみは青年の冷たい態度に腹を立てていた。その後こなた達と合流してそれぞれの自宅へと帰っていったが、かがみは帰り道は不機嫌な顔をしながら何も喋らなかった。