Scream

□【Offer】I'm not a prince any more than you are a princess.
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泣いた子を見掛けた。

それから、魂を狩った。

泣いた子はもう泣いてなかった。

魂は泣いてない。

だって、お母さんの気を引きたかっただけだもんね。


「分からないなあ………そういうの」


なんで泣いて気を引こうとしたんだろう。

誰も居ない町の中、置かれたポストに寄り掛かる。

泣かなくて、強くなろうとすれば振り返ってくれる筈だろうに、何故。

なんで分からないのか。
分からないなぁ。

だって、あの子と僕。

何が違う?

同じ人じゃないのかなぁ。


「あ、ダメだ」


よく分からなくなってきた。

『おいこらクロナァ!もう次行くぞ!』

「……うん、」


違う所、違う所。

分からない。分からない。

「ねェラグナロク」

『あぁ!?』

「僕はあの魂の人達と、何が違う?」

タッタッタッタ。

小気味よい音を響かせる、小走りで走りながら町を出る。

次の場所は本当にすぐだから、飛ぶ必要もないから。

『あぁ!?分かれよそんなの!!』

「分からないから聞いてるんだよ…」

だから、暴れないで欲しい。
とても走りにくいし。

『テメェはあいつらより断絶強ェ!そうだろ!?』

「………うん」

『あ、イヤ間違いだな。オレが強ェんだったな!!』

「…………そうだね」

走っていた足が、ちょっと遅まる。

そのまま、走りから歩き。

少し俯きながら、


(……強ければ恐怖がない)


そう、だから今まで強くなろうとしてたんだ。


(あの子が泣いてたのは、強くないから、恐怖があったから?)


そう、恐怖から逃れられないから泣いたんだ。

証拠に僕は暫く泣いていないから。


でも、同じ人なのに。


気付いた時には、次の町に居た。




「………ラグナロク、悲鳴共鳴」




泣いてないけど。

僕の何処か一部分はあの子のように泣いているかもしれない。





→......後書き

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