ドルチェ

□energico
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昨日のことがあったから、私は珍しく浮かれていた



ツナさんのおかげで、久しぶりに楽しい時間を過ごせた



そんなことを考えて浮き足だって大学の広い敷地内を歩いていると、後ろから誰かに強く肩を掴まれた



振り向くと、そこにいたのは昨日のあの男だった



――逆ギレしそうなヤツだったから

今日のことで絡まれなきゃいいんだけど。気をつけてね



すぐにツナさんの台詞が頭を過って身が強張る



「そんな顔しないでって」



きっと私は、すごく失礼なんだと思う



それでも、この人は嫌だと思ってしまう



『何か用ですか?』



「昨日言ったじゃん。遊ぼうって。…今日はいいよね?」



まるで逃がさないよと言うように手を掴まれる



『は、離してください…!』



「そんな固いこといわないでよ」



『やだっ』



抵抗虚しく肩に手を回される



私は無力だと実感した



昨日はたまたまツナさんが助けてくれたけど、私みたいなのを助けてくれるようなひとはそうそういるわけない



私みたいな、友達もろくにつくれないひと、きっと誰も助けてなんてくれない



なんだかやりきれなくて、悔しくて、じわりと視界が歪む



「ほら、行こ…「何やってるんですか!」



不意に聞こえたたしなめるような声



視線をあげると女のひとが仁王立ちしていた








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