ドルチェ

□dacapo
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用意されていた綺麗な服を着て、お父様と一緒に約束してあった料亭に向かう。



これからのことを考えると足が重いし、胃が痛い。



でも、もう覚悟はできている。



「晴れて良かったなノエル。見合いには絶好の日だな」



なんて上機嫌なお父様が次いで隣で相手方のことをいろいろ説明しているけど、全然頭に入ってこなかった。



相手方はもうついているらしい。



お父様の後に着いていくと奥に通された。



お父様が先に中に入ったのに続いて中に入り、私は勢いよく頭を下げた。



『「すみませんっ!」』



声が重なったことを不思議に思って顔をあげる。



『え…』



「あ…」



「な、なんだ二人とも」



「ノエル、お知り合いなのか?」



『え?じゃあ…今日の相手って…』



「ああ。ドン・ボンゴレ、沢田綱吉さんだ」




















一体誰がこんなこと予測できたんだろう。



若干現実逃避しながら私はドン・ボンゴレ、もといツナさんと外を歩いていた。



『…な、なんて言ったらいいのか…本当にびっくりで…』



「うん。俺も、すごく驚いた。まさか乃慧が…相手なんて」



苦笑してツナさんは頭をかいた。



それも仕方ないことだと思う。



私たちはあんなふうに変な別れをしてから約二月会っていなかったんだから。



あんなことがあったのに、お店になんか行けなかったし、ずっと忘れようとしてきた。



「俺さ…さっき乃慧に謝ったのは、…この縁談を断るつもりだったからなんだ」



『え?』



「俺、長く乃慧に会わないでいて、やっぱり乃慧じゃなきゃ駄目だってわかって…だから」



かあっと顔が熱くなる。



見られたくなくて顔を俯けた。



「でも、相手が乃慧だったから、この話、俺は受けたい。嫌かな」



『私だって、ツナさんと被っちゃいましたけどさっきすみませんって言ったんですよ。…この話、父には秘密にしてましたが、断るつもりで今日来たんです。…なんでかわかりますか?』



軽く首をかしげて先を促すツナさん。



『私が…あなたを好きだからです』



「…………へ?」



『本当は私、ツナさんが好きでした。会わない間、忘れようとしたけど、どうしてもできなかったから…。私、生まれてはじめて父に逆らうつもりで、今日来ました。ツナさんはもう私のことなんか忘れてしまってるんだろうなって思いながら、でもこんな気持ちで他のひととなんて、考えられなくて』



「乃慧…」



ツナさんの手が伸びてきて私の手にそっと触れた。



『だから私、このお話お受けします』



触れていた手が握られて、優しく引かれた。



そのまま引き寄せられて抱きしめられる。



背中に手を回して抱きしめ返すことができるのが嬉しくて仕方なくて、嬉しくてもやっぱり涙は出るんだな、なんて考えた。






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