ドルチェ

□amabile
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「山本!また10代目がいらっしゃらない!」



広間のソファで寛いでいた山本に突然勢いよく扉を開けて現れた獄寺が叫んだ。



山本は若干身を起こして獄寺を見る。



「ツナなら息抜きに散歩に行くって言ってた」



「なんだそうならよかった…ってよくねぇー!止めろよてめえっ」



「まあまあいいじゃねえか少しくらいは。
今日は連絡もとれるようにしておくって言ってたし」



「まだマシだが、そういう問題じゃねぇ!
だいたいお前は―――」



バタンッ



すごい音がした方を二人が一斉に見ると、綱吉が扉の前に立っていた。



「山本おおぉぉぉーっ!!!」



「ど、どうしたツナ?」



「隼人おおぉぉぉーっ!!!」



「な、なんでしょうか?」



「乃慧にデートに誘われちまったああああああ!」



「おめっとー」



「よかったっすね」



「軽っ、二人とも軽っ!
つうかどうしようこれ、こんなの俺期待しちゃうんだけど!」



「すればいいんじゃねぇの」



「普通に考えて脈ありでしょう」



「えええたしなめてよ二人とも!
だって俺は、俺……諦めなきゃいけないのに」



「まあまあ、今はそんなことよりせっかくなんだから楽しめよ」



「そうですよ。どちらに行くんですか?」



「あ、そうだ。ふたりにききたかったんだ。
この辺になんか楽しいところってある?」



「楽しいところ?またアバウトなのな」



「だよね。俺も悩んでてさ。テキトーなところには連れていきたくないんだ」



ふうと短く息をついてソファに座り込んだ綱吉。



思案顔だった獄寺が口を開いた。



「10代目、二月前隣町に新しく遊園地できたのご存知ですか?」



「あー…聞いたことあるな」



「あそこ評判いいよな」



「俺、先週行ったんですよ。
結構よかったですし、女はああいうところ好きみたいですね」



「ははあ…獄寺例の新しいカノジョと行ったのか」



「なっ…!?」



「いいねー隼人。しあわせだね。しあわせわけてよ」



「10代目までそんなことをっ」



あわあわしてる隼人は面白いなぁとニマニマしながら眺めるのだった。







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