トワエモア

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しんと静まり返った室内に、カリカリ忙しなく走るペンの音が三つ、それから時計が時を刻む音だけが響く。
机に向かって作業する沢田さん、獄寺さん、そして私。
目の前に積み重なった処理済みの書類に、今出来上がった最後の一枚を重ねた。

できたー!と叫びたいくらいの気持ちだった。
何て言ったって、急に今日中に仕上げなくちゃいけない仕事が大量に入って、朝からこの三人で篭りきりでの作業だったのだ。
でも叫ばないけど。
まだ二人は残っているかもしれないし。
様子を探ろうと視線を向けると、沢田さんは疲れた様子で椅子の背もたれに身体をあずけていた。
そして天井を見上げている。
どうも呆けているようだ。
獄寺さんは、逆に机に突っ伏していた。
だいたいみんな同じくらいに終わっていたらしい。
間に合ってよかった。本当に。
立ち上がって二人から書類を回収してまとめると、視線がこちらに集まり出す。

『すぐにこれ出してきますから、そしたらお茶でもいれて休憩にしましょう』
「サンキュ」
「うん」

疲れた二人に苦笑してから、部屋を後にした。







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