トワエモア

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ボンゴレに来てから、新しく覚えなきゃいけないことが多かったし、新生活に備えたりで休日をただゆっくり過ごすことなんてなかった。
今日は久しぶりに完璧なオフモードだ。
いつもは結い上げている髪はただ背中に流しているし、きっちりしたスーツを着ていない。
キャミソールとショートパンツを身につけて、ソファーに寝転がりながら映画を見ていた。
イタリアのちんけな映画だった。
お国柄なのか、べたなラブストーリー。
そんな映画をぼんやりとしながらも見終わる頃には、既にお昼を回っていた。
お腹がすいたので、パーカーだけ上に羽織って部屋を出た。
欠伸をかみ殺しながら広間に向かって扉を開ける。
ボンゴレの人達はそれぞれがやたら忙しいからか、大抵お昼はばらばらだ。
時間のあいたときにシェフに頼めば用意してもらえる。
それに、お昼時に広間にいけば大抵使用人がいるから用意してくれる。
だからか、たまに広間でランチタイムが誰かと重なることなんかはあるんだけど。
開けたままの広間の扉に手をかけたまま、中を見回して首を傾げる。

『おはようございます。こんなに人数が揃うのも珍しいですね』

沢田さんと獄寺さんに山本さん、笹川さんにランボさん。
5人も揃ってるのははじめて見た。

「依織さんもお昼ですか?隣どうぞ」

サッと立ち上がったランボさんが、隣の椅子をひいてくれた。
さすがイタリア人だなと感心しつつ、お礼を言って隣に座った。
すぐに使用人がやってきて、お昼のメニューを教えてくれた。
多分、すぐに運ばれて来るはず。

「そういえば、野々宮は今日オフだったな」
『そうですよ』
「満喫してるか?」

獄寺さんに続いて山本さんがにこやかに尋ねてきた。

『久しぶりにゆっくりできるので部屋でだらだらしてました』
「休みだからと言って油断は禁物だぞ野々宮!!極限にトレーニングだ!」
『いやー私筋力も体力もそんなにないので遠慮します』

笹川さんてばやっぱり根っからの熱血漢だな。
なんて思いながら隣のランボさんを見る。
なんだか妙にそわそわと落ち着きがない。

『どうかしました?』
「いえ、なんだか落ち着かなくて」
『ごめんなさい、私が隣じゃ邪魔ですね』

まだ知り合って間もないひとが隣じゃ居心地が悪いのかも。
場所を移動しようと立ち上がると、腕を掴まれた。

「そういう意味じゃないので!ただ…依織さんの雰囲気がいつもと違ったので」
『え?』






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