トワエモア

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「依織って8ヶ国語話せるんだよね。せっかくだし、通訳が必要な時はまかせるから」
『はい』

いつまでボンゴレにお世話になるのかなんてわからないけど、とりあえず生き残れるといいな。
これで死んだりしたら、私が可哀相すぎる。



暫くして、車が停車した。
車を出ると目の前にある屋敷。
こんなに大きい建物を、私ははじめて見たと思う。
更に、広大な土地にいくつか建物が見える。
ボンゴレってとんでもないところだったんじゃ…?

「隼人、案内と仕事の引き継ぎは任せるよ。守護者が帰ってきたらまた呼ぶから、その時に依織を紹介しよう」
「はい」
「じゃあ後は任せた」

獄寺さんがお辞儀をして沢田さんとリボーンさんを見送るので、私も彼に倣って頭を下げた。

「野々宮、今から案内をするからついて来い」
『はい』

先を歩きはじめた獄寺さんに続いて屋敷に入る。
大きくて豪華な屋敷に驚くヒマもなく、早足で行く獄寺さんを追う。
なんだかこの人、つんけんしてる気がする。
嫌われているのかな。
なんでだろう。

「言い忘れてたが、10代目をさん付けで呼ぶなら他の幹部もそうしろよ」
『はい』

獄寺さんの言うことは最もだ。
そういう序列は大事だと思うし。



広い部屋の内、彼は主要な部屋を案内してくれた。
はっきりいって、広すぎて一回じゃ覚えられないから大まかで助かったかもしれない。
最後に沢田さんの執務室に着いた。
現在沢田さんはいないけど、どうやらここが秘書である私の主な活動場所になるらしい。
そのまま獄寺さんが仕事の引き継ぎで様々な説明をした。
内容は前のところと大して変わらないようだった。
スケジュール管理や、お客様の相手をしたり、書類を手伝ったり。
要は沢田さんのサポートをすればいい。

「いいか。これで引き継ぎは終わりだ。一々面倒みてるヒマはねぇから一回で覚えろよ」
『はい。大丈夫です』
「細かいことは明日だ。午前は俺も付き添う」
『はい』

一通り頭に叩き込んだので頷くと、視線を感じた。

『…何か?』
「いや、ボンゴレに来るのを嫌がってたから仕事のやる気もねぇと思ってたが…そうでもねぇんだな」
『正直、今でもマフィアは怖いので嫌ですけどね。でも、自分の仕事はきちんとこなしたい性分なんです』
「そうか」
『でも、私なんかが秘書で大丈夫なんでしょうか?沢田さん、見たところ凄い方のようですし…』
「……大丈夫なんじゃねぇか」
『え?』
「10代目は見る目がある」
『は、はぁ』

何となく、獄寺さんは沢田さんをとても慕っているんだと感じた。
沢田さんを語る獄寺さんがすごく誇らしげだし。

「10代目は素晴らしいお方だ。お前も10代目のもとで働けばそのうちわかる」

自信満々な彼はそのまま沢田さんの素晴らしさを語りだす。
私にしてみれば沢田さんはただのこわいドSなんだけど、そうでもないのかもしれない。






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