変人カノジョ

□8.形成逆転
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ボッカーンと音を立てて広間の扉が吹っ飛んだ。
扉の向こう側から姿を表したセイラ。

『つーなーよーしー…』

地を這うような、と形容するのがぴったりの唸り声が響く。

「あ、セイラにフラン…その様子だとフランにはバレてるみたいだな」
『ヴァリアー一人にバレたらもう何人にバレたって同じようなもんよ。もうあんたの言うことなんて聞かないから』

後ろに虎の幻影が見えそうな迫力のセイラにヴァリアーの面々は狼狽える。
フランと綱吉、セイラ以外は状況が呑み込めていなかった。

『大体なんなのあんた。ボスがこんなとこ来て遊んでていいわけ?本部の皆も大変ねえ』
「はあ?仕事なんか終わらせてきたに決まってんだろ。俺を誰だと思ってんの?」

『ただのダメツナでしょ?』
「それ10年前の話だから。いつまでも昔のことばかり言ってウザいよ」
『あんたよりはウザくないから、マグロさん』
「は?視力大丈夫?俺のどこがマグロだ。名前が綱吉だからマグロっていうんなら安易過ぎて逆に笑えるんだけど単細胞」
『じゃあシーチキンならいいわけ?』
「大して「いい加減にしやがれえぇ!」

割って入ると二人がじろりとスクアーロを睨み付ける。
呆気にとられていた皆はスクアーロ勇者ーとか貧乏くじーとか呑気に思っていた。
基本的に皆、触らぬ神に祟りなしな精神なのだ。
二人に一瞬気圧されたものの、歳上の威厳?でどうにか持ちこたえたスクアーロ。

「お前らがそんなんだと見てるこっちが疲れんだぁ!」
『んなの知るか』
「いいからちょっと黙ってろぉ!沢田綱吉、お前は一体何しに来たんだぁ!ザンザスに用だったんならさっさとかえりやがれぇ!つうか何でセイラに八つ当たりしてんだぁ!」
「何でって……今苛々してたから」
「セイラに当たることないだろぉ!」
『そーだそーだスクアーロもっと言ってやって』
「つうか何でそんなに苛々してんだぁ?」
「だってさー…この間本部が襲撃に合ったの知ってんだろ?そしたら使用人皆いなくなっちゃうし、今大変なんだよ本部。そしたらなんかリボーンが、新しい使用人は簡単にはやられない強いやつにするとか言い出して……いろんな大会優勝総なめの女をスカウトしてくるとかほざくから。俺にしてみればさ、やっぱりメイドは可愛い女の子がいいんだよ。普通はごつい奴にコーヒーもらうより可愛い女の子に淹れてもらう方がいいじゃん美味しいじゃん絵になるじゃん目の保養じゃん?」
「お、おお…」

スクアーロは綱吉の勢いに若干圧されながらも頷いた。
スクアーロにもわからなくはない話だ。

「リボーンだって、せっかくなら可愛い女の子のがいいだろうけど今回は事情が事情だし…俺へのちょっとした嫌がらせにマッチョな女をメイドにするかもしれないと思ったらムカついて八つ当たりに来た」
「八つ当たりって認めちゃうんですねー」
「つうか、写真見ればいいじゃん?」
「ニヤニヤしてるだけでリボーンが見せてくんない。ムカつく」
「確かにルッスセンパイみたいなのがメイドだったら最悪ですねー」
「どういう意味よ!失礼ね!」
「そのまんまの意味だカマ野郎がー」
「きぃーっ!」

何だか纏まりのない会話にそれまで黙っていたセイラが口を挟んだ。

『でもそれって私は何の関係もなくね?』






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